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半導体物理:結晶構造について(1)

WerbeFabrik / Pixabay

私の専門の半導体について、大学やその先ではどんなことを勉強し、どういう知識を使って仕事をしているのかを紹介していきます。

今回は半導体物理の基本から、結晶構造について説明します。

結晶とは?

結晶というのは原子が周期的に規則正しく配列されている物質のことを言います。この周期的な原子の配列の最小単位のことを単位格子と呼び、特に格子の中に1つの原子が含まれる場合は、基本単位格子(Primitive Cell)と呼ばれます。

結晶格子は3つのベクトルによって次のように表すことができます。

R = ma + nb + lc

この3つのベクトルの長さとこれらがなす角度によってさまざま格子を描くことができます。様々な格子を作ることはできますが、対称性を考慮することによってより小さな格子で表現することができる格子も作られてしまいます。そこで、結晶の対称性を考慮してまとめられたブラベー(Bravis)格子を使って結晶格子を表現します。

ブラベー格子とは?

先ほど結晶格子は3つのベクトルで表すことができるといいました。この3つのベクトルの関係は7種類に分類することができます。これを結晶系と呼びます。

次に各結晶系でとれる原子の配置を考えます。原子の配置は格子の頂点にのみ原子がある単純、格子の頂点に加えて上下の底面に原子が配置される底心、格子の頂点に加えて格子の中心に原子が配置される体心、格子の頂点に加えて各面の中心に原子が配置される面心の4種類が考えられます。

つまり、結晶格子としては7種類(結晶系)×4種類(原子配置)で28種類考えられます。そこから、より小さな単位格子を使っても対称性を失わない格子をのぞくと14種類になります。この14種類の単位格子をブラベー格子と呼びます。

ブラベー格子の中でも代表的なものを紹介します。

 

 

単純立方格子
体心立方格子
面心立方格子
六方晶

出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

まとめ

今回は、結晶構造の基本について紹介しました。ブラベー格子は結晶構造を考えるうえで基本となるものです。次回は半導体の主な結晶構造について説明します。

これで、半導体物理:結晶構造について(1)を終わります。また次回もよろしくお願いします。

あとがき

今回は、結晶についての基礎で大事な概念であるブラベー格子について紹介しました。今回紹介したのは4つだけですが、この他の10個の格子についても興味があればぜひ見てください。この4つは高校化学でも出てくるくらい基本的なものになります。

次回は、半導体の結晶構造、ミラー指数、逆格子について説明します。

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