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半導体物理:結晶構造について(2)

WerbeFabrik / Pixabay

皆さんこんにちは!

半導体物理の紹介をしていきます。前回、結晶構造の基本としてブラベー格子を紹介しました。今回は、半導体として広く使われているシリコン(Si)と砒化ガリウム(GaAs)(ガリウム砒素と呼ぶことが多いです。)、それから最近ノーベル賞にもなった窒化ガリウム(GaN)の結晶構造を紹介します。

シリコンの結晶構造

シリコンの結晶構造はダイヤモンド構造とよばれる結晶構造です。結晶構造を図にすると下のようになります。

これは正四面体の頂点と体心にシリコン原子が配置された構造になっています。結晶群としては、立方晶系に属し、対称性からとなります。(結晶群については、また別の記事で紹介します。)

この結晶構造は実は面心立方格子が二つ重なった構造になっています。そのことは、砒化ガリウムの結晶構造を見るともっとわかりやすいので、先にそちらを紹介します。

砒化ガリウムの結晶構造

砒化ガリウムの結晶構造は閃亜鉛構造と呼ばれ、下の図のようになっています。

赤色がGa原子、緑色がAs原子を表しています。先ほどのシリコンの構造と違う点はGa原子とAs原子が交互に並んでいることだけで、全体の構造は同じ構造をしています。赤色のGa原子だけに注目すると、面心立方格子になっていることがわかります。As原子も面心立方格子になっているのですが、わかりにくいので2つの画像を用意しました。左は表示するAs原子の数を増やしたもの、右はAs原子を原点にして結晶構造を描いたものです。

これらを見てもらえると、わかっていただけるかもしれません。慣れないうちはわかりづらいですが、二つの面心立方格子が(1/4, 1/4, 1/4)ずつずれて重なっているので、そういう風に見てもらうとわかるかもしれません。(格子定数を1として考えています。)

窒化ガリウムの結晶構造

窒化ガリウムの結晶構造はウルツ鉱型構造と呼ばれ、下図のようになっています。

これは、シリコンや砒化ガリウムと違い、六方晶系の結晶になります。六方最密構造が二つずれて重なった構造になっています。図の描き方を少し変え、上から見た図を以下に載せます。

原子が平面で六角形に並び、それが層になって重なっていることがわかるでしょうか。実は六方最密構造は、面心立方格子の[1 1 1]方向の原子の並びと同じになっています。化合物がどのような結晶構造になるかは原子の大きさの比が関係しています。計算自体は簡単な立体図形の問題ですので、大学受験でも問題になっていることがあります。(大学受験勉強をしていた時に、そんな感じの問題を解いた記憶がかすかに・・・)

まとめ

Si, GaAs, そしてGaNの結晶構造を紹介しました。Siはダイヤモンド型構造、GaAsは閃亜鉛鉱型構造、GaNはウルツ鉱型構造になっています。Si, GaAsは非常に似た構造になっていて、GaNは六方晶系の構造になっています。結晶構造について紹介したので、次はミラー指数等を紹介したいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これで、”半導体物理:結晶構造(2)”を終わります。また次回の記事でお会いしましょう!

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