半導体において、エネルギーと運動量の関係、
ここでは、半導体のエネルギーバンドとエネルギーギャップについて基本的なことをまとめ、GaN, AlNのエネルギーバンド図を示します。
エネルギーバンドの形成
結晶のバンド構造、すなわちエネルギーと運動量の関係は、多くの場合1電子近似のシュレーディンガー方程式を解くことで得られます。
このとき、結晶中のポテンシャル
となります。ブロッホの定理から波動関数はブロッホ波で書くことができ、
となります。
が成り立ちます。これが、
ブロッホの定理からエネルギー
このシュレーディンガー方程式を解くことでエネルギーバンド図が計算できます。ですが、解析的に解くことはできないため、数値計算によって解かれています。解くための手法としては平面波近似、擬ポテンシャル法、kp摂動法などがあります。
GaNとAlNについて計算された結果を下図に示します[2]
また、バンドギャップは温度依存性をもっており、半経験的に
で表されます。GaN, AlNの場合はそれぞれ、
となります[3, 4]。
GaN,AlNのバンドギャップの温度依存性
有効質量
バンド単付近では、
が成り立ちます。ここで、
となります。ここで、キャリアの群速度は、
で表されます。
参考
[1]逆格子ベクトルについては、こちらの記事に書いています。
[2] 三輪和利, 福本敦勇、”ワイドバンドギャップ半導体GaN,AlNの物性予測 -第一原理計算による電子状態計算-”、豊田中央研究所 R&D レビュー Vol. 29 No. 4 ( 1994. 12 )
[3] GaNのバンドパラメータ:Bougrov V., Levinshtein M.E., Rumyantsev S.L., Zubrilov A., in Properties of Advanced SemiconductorMaterials GaN, AlN, InN, BN, SiC, SiGe . Eds. Levinshtein M.E., Rumyantsev S.L., Shur M.S., John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001, 1-30.
[4] AlNのバンドパラメータ:Guo, Q, Yoshida A., Jpn. J. Appl. Phys. 33, part 1, 5A (1994), 2453-2456.