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半導体物理

任意単位 Arbitrary Unitとは?

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科学の世界では、特性を議論するときには数値だけでなくその単位が何なのかが重要になります。単純な例でいえば、長さの議論をするときに100と言っても、100cmなのか100mなのか、あるいは100nmなのかでとらえ方が変わってきます。特に、数字を比較するときには単位が一致しているかどうかを必ず確認する必要があります。数値の絶対値を比較したいから単位が何なのかを気にしています。

しかし、科学の世界では常に数値の絶対値がわからなくても十分な時もあります。例えば、デバイスの電気特性がどのような振る舞いをするか大まかに知りたい場合や、X線回折測定で反射X線の強度の波形がわかれば構造を決定できるような場合ですなどです。このような場合、グラフにするときには任意単位、Arbitraty Unit が使われ、a. u.と略記されます[1]。

XRDの波形を比較している例[2]
Sample A, B, Cの3つの波形を相対比較し、それぞれのサンプルに含まれる化合物を特定、比較している。縦軸はa.u.となっている。

任意単位は、グラフに描かれたデータを取得した環境が異なるため、数値の絶対値を比較することはできません。すなわち、Aさんが作ったグラフの100任意単位とBさんが作ったグラフの100任意単位は同じ絶対値ではない可能性があるということです。(奇跡的に同じ絶対値になるかもしれませんが、基本的にはあり得ません。)

参考

[1] arbitrary: 任意の、無作為の
”任意単位 (arbitrary unit) の省略形としては、arb. unit, arb. u., AU, a.u.などがあります。これらのうち「AU」と「a.u.」は、天文単位 (astronomical unit) や原子単位系 (atomic units) の一般的な省略形でもあります。そのため、少なくとも一誌の学術雑誌は明白に、「a.u.」を用いず代わりに「arb. unit」を用いるよう要求しています。”(wikipedia: 任意単位より)

[2]高山 透, 村尾 玲子, “XRD-リートベルト法による焼結鉱中の鉱物相の定量解析”

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