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半導体物理

【半導体物理】少数キャリアの連続の方程式

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半導体の物理を考えるうえで重要な方程式の一つに、少数キャリアの連続の方程式があります。ここでは、連続の方程式とそれを利用した具体例について紹介したいと思います。

連続の方程式

n型半導体中の正孔に関する連続の方程式は、

\displaystyle \frac{\partial p_{n}}{\partial t} = G_{p} - \frac{p_{n} - p_{n0}}{\tau _{p}} - p_{n}\mu _{p} \frac{\partial \mathcal{E}}{\partial x} - \mu _{p}\mathcal{E} \frac{\partial p_{n}}{\partial x} + D_{p}\frac{\partial ^{2} p_{n}}{\partial x^{2}}

p型半導体中の電子に関する連続の方程式は、

\displaystyle \frac{\partial n_{p}}{\partial t} = G_{n} - \frac{n_{p} - n_{p0}}{\tau _{n}} + n_{p}\mu _{n} \frac{\partial \mathcal{E}}{\partial x} + \mu _{n}\mathcal{E} \frac{\partial n_{p}}{\partial x} + D_{n}\frac{\partial ^{2} n_{p}}{\partial x^{2}}

で表されます。

方程式を簡単に説明します。左辺は少数キャリアの時間変化です。右辺の第1項はキャリアの生成レート、第2項は再結合によるキャリアの減少レート、第3項、第4項は電界によるドリフト電流、第5項は拡散電流を表しています。

この方程式をもとに余剰キャリアが時間・空間的にどのように広がるかを計算してみましょう。

時間による少数キャリアの減少

半導体に一様に光を照射してキャリア注入をします。そして、t=0で光照射をやめ、注入したキャリアが時間的にどうのように変化するかを計算します。

n型半導体を考え、電界は印加しない、すなわち\mathcal{E} = \partial \mathcal{E} / \partial x = 0とします。また、光は半導体全面に均一に照射するため、キャリアの空間分布はない、\partial p_{n} / \partial x = 0とします。すると、連続の方程式は、

\displaystyle \frac{\partial p_{n}}{\partial t} = G_{n} - \frac{p_{n} - p_{n0}}{\tau _{p}}

となります。光を照射しているときの定常状態は、

G_{p}\tau _{p} = p_{n} - p_{n0} = const

となります。t=0で光の照射をやめると、それ以降の連続の方程式は、

\displaystyle \frac{\partial p_{n}}{\partial t} =  - \frac{p_{n} - p_{n0}}{\tau _{p}}

と表されます。光を照射していた時の定常状態から、p_{n}(t=0) = p_{n0} + G_{p}\tau _{p}となりますので、

p_{n}(t) = p_{n0} + G_{p}\tau _{p} \exp (- t/\tau _{p})

と解くことができます。

少数キャリア寿命の測定

これは、キャリア寿命の測定に応用することができます。パルス光を半導体に照射すると、光によってキャリアが増加し、電流がながれます。光が切れると電流が減少します。これを測定することで、少数キャリアの寿命を見積もることができます。

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