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半導体物理

半導体物理:結晶構造(4)

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今回は、逆格子について説明します。今回の記事で、半導体物理の基礎としての結晶構造の話は最後になります。逆格子はわかりにくい内容ですが、X線回折による結晶性の評価を行う際に役立つ内容です。私も仕事でX線回折をしていますが、そのときに逆格子を考えて測定条件を決めることがあります。では、逆格子の基本について説明します。

逆格子ベクトル

実格子ベクトルa, b, cに対応する逆格子ベクトルをa*, b*, c*とすると、

\displaystyle \bf{a}^{*} = 2\pi \frac{b\times c}{a\cdot b \times c}

\displaystyle \bf{b}^{*} = 2\pi \frac{c\times a}{a\cdot b \times c}

\displaystyle \bf{c}^{*} = 2\pi \frac{a\times b}{a\cdot b \times c}

のように定義されます。この定義からわかるように、a\cdot a^{*} = 2\pi, a\cdot b^{*} = 0 という関係が成り立ち、ほかの組み合わせも同様の関係が成り立ちます。分母はすべて同じですが、これはa\cdot b \times c = b\cdot c \times a = c\cdot a \times b という関係が成り立つからです。また、a\cdot b \times cは実格子ベクトルa, b, cが作る平行六面体の体積を表します。逆格子ベクトルは一般的に次のように表します。

\vec{G} = h\vec{a^{*} }+ k\vec{b^{*}}+ l\vec{c^{*}}

ここで、h, k ,lは整数です。このことから、実格子ベクトルとの間に重要な関係が成り立ちます。

\vec{G}\cdot \vec{R} = 2\pi \times Integer

この関係式は、X線回折のときによく出てくる式になります。X線回折についてはまたどこかで記事にしたいと思います。また、単位逆格子ベクトルの作る体積をV_{c}^{*}とすると、単位格子ベクトルの作る平行六面体の体積の逆数に比例します。

\displaystyle V_{c}^{*} = a^{*}\cdot b^{*} \times c^{*} = (2\pi )^{3} \frac{(b\times c)\cdot (c\times a) \times (a\times b)}{V_{c}^{3}}

ここで、V_{c}=a\cdot b\times cであり、(b\times c)\cdot (c\times a) \times (a\times b) = V_{c}^{2}である。外積の積が体積の二乗になることは成分で計算すると証明することができます。そのため、

\displaystyle V_{c}^{*} = a^{*}\cdot b^{*} \times c^{*} =\frac{(2\pi )^{3}}{V_{c}}

となります。

逆格子の単純格子はウィグナー・ザイツセルで表現されます。ウィグナー・ザイツセルはある格子点と、その周りの格子点との間の垂直二等分面で囲まれた領域における最小のセルです。逆格子ベクトルの格子点に対して垂直二等分面で囲まれた領域を描いたものが逆格子ベクトルの単純格子になります。この逆格子の単純格子はエネルギーと波数ベクトルの関係、E-k関係を考えるときに有用な考え方になります。

まとめ

逆格子ベクトルはなかなか難しい概念ですが、X線回折を考えたり、エネルギーと波数ベクトルの関係を考える際に使える概念です。私もまだまだ完全に理解はできていませんが、今後も勉強を続けていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これで、半導体物理:結晶構造(4)を終わります。また次回の記事でお会いしましょう。よろしくお願いいたします。

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