カフェインは日常でよくその名前を聞く化学物質です。コーヒーに多く含まれていて、眠気覚ましになると広く知られている物質です。今回はこのカフェインについてなぜ眠気覚ましになるのか紹介します。
カフェインの語源
カフェインという単語は、ドイツ語の”Kaffee“とフランス語の”Café“から作られた単語です。どちらの単語もコーヒーの意味です。コーヒーから名づけられているのは、この物質が最初に発見されたのがコーヒーだったからです。
カフェインは、1819年にドイツの分析化学者、フリードリープ・フェルディナント・ルンゲがコーヒーから世界で初めて単離した物質です。このことにちなんで、カフェインと命名されました。
カフェインはその名の通りコーヒーのみに含まれる物質と思われていました。そのため、1827年、M. ウードリーはお茶に含まれるある化合物をテインと命名しました。しかし、その後ヨハンネス・ムルデル及びカール・ジョブストらによってテインはカフェインと同一であると確認されました。今ではカフェインはコーヒーやお茶だけでなく、60種類以上の植物に含まれていることがわかっています。また、人工的に合成することもできており、様々な食品やサプリメントで摂取することができるようになっています。
カフェインの分子構造
カフェインの化学名は1,3,7-トリメチルキサンチンで、分子式は、C8H10N4O2です。カフェインはアルカロイドの1種で、プリン環を持つキサンチンの誘導体です。分子構造を描くと次のようになります。
カフェインの効能
カフェインの主な効能は、中枢神経を興奮させる覚醒作用で、医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があります。一方、副作用として不眠、めまいなどの症状が現れることもあるので、注意が必要です。
多くの人がコーヒーや緑茶などからカフェインを日常的に摂取していて、眠気覚ましとして使われています。カフェインは法的に禁止・制限された薬物ではありませんが、アンフェタミン、コカイン、ヘロインといった麻薬と同様に中毒性のある物質なので、過剰に摂取することは控えましょう。
また、最近ではカフェインを減らしたデカフェのコーヒーが人気になっています。私も夜寝る前にコーヒーを飲みたいときにはデカフェのコーヒーにしています。では、カフェインはどのように取り除いているのでしょうか。
カフェインの抽出
カフェインの抽出方法は主に三種類あります。
水による抽出
まず一つ目は、コーヒー豆に水を加えてカフェインを水に溶けださせて抽出する方法です。水を加えればいいだけなので、簡単な方法ですが、カフェインとともに香りなどその他の物質も溶けだしてしまいます。そこで、カフェインやその他の物質が溶けた水を木炭でろ過します。木炭はカフェインを吸着することが知られており、ろ過した後の水をコーヒー豆に戻して水分を飛ばせば、デカフェコーヒーの完成です。
有機溶剤による抽出
二つ目の抽出方法はコーヒー豆に有機溶剤を加え、カフェインを有機溶剤に溶け込ませる方法です。これまで有機溶剤には塩素を含む化合物や芳香族化合物が使われていましたが、健康リスクや環境負荷が問題となりました。そこで、研究者が新たな有機溶剤の探索を行い、酢酸エチルが健康リスクや環境負荷を抑えて、カフェインを抽出するのに適していると発見しました。
二酸化炭素による抽出
三つ目の抽出方法は二酸化炭素にカフェインを溶け込ませる方法です。二酸化炭素にカフェインが溶けるのか?と疑問を持たれるかもしれません。二酸化炭素と言っても固体のドライアイスや気体の二酸化炭素を使うのではありません。超臨界流体の二酸化炭素を溶剤として用います。超臨界流体とは固体、液体、気体の3つの状態が入り混じった状態を指します。二酸化炭素は31.1℃、73atm(地上の大気圧が1atm)の状態にすることで、超臨界流体になります。この超臨界流体の二酸化炭素をコーヒー豆に通すことで、カフェインの約99%が二酸化炭素に溶けだします。また、超臨界流体の二酸化炭素を水に通し、カフェインを水に溶かすことでカフェインの白い結晶を取り出すことができます。
上記の3つの方法のうち、どの方法を使ってデカフェするかはコストとの相談になります。安いものは水で、それなりの値段がするものは二酸化炭素による抽出を行っていると考えられます。
まとめ
カフェインについて歴史や化学式などについて、紹介しました。カフェインは普段何気なく摂取している化学物質ですが、1800年代に発見されたことや、最近はやりのデカフェをするための方法は知らなかった人も多いのではないでしょうか。
それではカフェインとは何か?を終わりたいと思います。また次の記事でお会いしましょう。
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