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同じ25℃でも水と空気で感じ方が違うのはなぜ?

早速ですが、皆さんに質問です。あなたは25℃のお風呂に入っていると想像してみてください。このとき、あなたはお風呂が冷たいと感じるでしょうか?それともちょうどいい、あるいは熱いと感じるでしょうか?

では、続いて25℃の部屋にいるところを想像してみてください。このとき、あなたは部屋が寒いと感じるでしょうか?それともちょうどいい、あるいは熱いと感じるでしょうか?

ほぼすべての人が、25℃のお風呂は冷たいと感じ、25℃の部屋は暑いかちょうどいいと感じるでしょう。

これは、同じ温度、25℃の水と空気なのに、体感温度が異なるという結果を意味しています。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?それは熱伝導によって説明することが出来ます。

熱は高いほうから低いほうへ移動する

さて、再び質問です。50℃のお湯が入ったコップを氷水の入ったバケツの中に入れると、50℃のお湯の温度はどうなるでしょうか。そうです、当然下がります。一方で、バケツの中の水は温度が上がります。そして、いずれはバケツの中の水とコップの中の水の温度は等しくなります。

これは熱は温度の高いほうから低いほうへと移動し、その逆は起こらないという熱力学第二法則にしたがって起こる現象です。熱は高いほうから低いほうへと常に移動し続けるため、温度の異なる2つの物体をくっつけておくと、いずれは同じ温度になります。

最初の質問の状況を考えると、25℃というのは体温よりも低いですから、人間から水または空気に熱が移動します。人間は熱を発していますから、25℃まで冷えてしまうことはありませんが、熱の移動は起きています。

さて、熱の移動が起こることは水と空気で共通ですが、何が違うのでしょうか。

熱の伝わりやすさに違いがある

答えを言ってしまうと、熱の伝わりやすさが水と空気で異なります。
この熱の伝わりやすさを熱伝導率といい、この値が大きいほど熱が伝わりやすくなります。

水と空気の熱伝導率がどうなっているかというと、

水(0℃-80℃):0.561 – 0.673 W/(m・K)

空気:0.0241 W/(m・K)

となっており、水のほうが空気よりも20倍も熱伝導率が大きいのです。
熱伝導率が大きいということはそれだけ多くの熱が体から水へ流れていきます。そのため、同じ25℃の水と空気でも水のほうが冷たいと感じるのです。

水と空気では水のほうが熱伝導率が大きいため、熱を発する物体を冷ますヒートシンクでは、水冷式のほうが冷却能力は高くなります。また、水のほうが空気よりも少ない体積で熱を逃がすことが出来るので、省スペース化にも役立ちます。

他の材料はどうなのか?

さて、水と空気を例に熱伝導率について説明しましたが、ほかの材料だとどうでしょうか。

ここで、熱伝導率の違いを体感する科学実験の動画を紹介します。

ここでは、金属、木、発泡スチロールに触れたときに、どれが一番冷たく感じるかを実験しています。
子供たちに触ってもらうとほとんどの子供が金属が一番冷たいと答えています。これは金属が他の材料よりも熱伝導率が高いためです。

金属の一例:鉄(0℃):83.5 W/(m・K)

木材:0.15 – 0.25 W/(m・K)

発泡スチロール:0.03 W/(m・K)

と金属の熱伝導率が他の材料よりも圧倒的に大きいことがわかります。つまり手から金属へ熱の移動がすぐに起こるため、冷たく感じるのです。

動画では最後にそれぞれの板に氷を置いて溶けるまでの時間を調べています。やはり熱の移動が起きやすい金属の板に置いた氷が一番最初に溶けています。

まとめ

同じ温度の水と空気でも感じ方が違うのは、熱伝導率が違うからだということを説明しました。

今回は、熱伝導が大きいほど熱の移動が大きいことに注目しましたが、逆に熱伝導が小さいことを利用しているものが防寒グッズになります。ふかふかしたダウンジャケットがあったかいのは、熱伝導率が低い空気をたくさん含んでいるからです。

金属でも種類によって熱伝導率が異なります。紹介した動画の最後にもあるように様々な材料のもので実験して、どの材料が熱伝導率が高いのか、あるいは低いのか調べてみると面白いと思います。

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