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【数学IA】対称式・交代式

今回は、対称式・交代式について紹介します。まずは、次の2つの式を因数分解してみましょう。

  1. (a+b)(b+c)(c+a)+abc
  2. a^2(b-c) + b^2(c-a)+c^2(a-b)

ポイント:1つの文字について整理する

因数分解のポイントとして、一つの文字について整理することがあげられます。早速、式1.でやってみましょう。

(a+b)(b+c)(c+a)+abc

=(b+c)a^2+\{ (b+c)^2+bc\} a + bc(b+c)

となります。各項に共通因数はありません。・・・が、たすき掛けで因数分解できることに気づきます。

(b+c)a^2+\{ (b+c)^2+bc\} a + bc(b+c)

=\{ a+(b+c)\} \{ (b+c)a+bc\}

=(a+b+c) (ab+bc+ca)

綺麗な形に因数分解することができました。続いて、式2.も同様に一つの文字について整理して、因数分解してみましょう。

a^2(b-c) + b^2(c-a)+c^2(a-b)

=(b-c)a^2-(b^2-c^2)a+b^2c-bc^2

=(b-c)a^2-(b-c)(b+c)a+bc(b-c)

=(b-c)\{ a^2-(b+c)a+bc\}

=(b-c)(a-b)(a-c)

=-(a-b)(b-c)(c-a)

と因数分解できます。

ポイント2:輪環の順

3文字a, b, cについて、2文字の和・差・積を並べて書くときには、輪環の順に書くことが基本です。

a+b→b+c→c+a

a-b→b-c→c-a

ab→bc→ca

こうすることで、式が見やすくなり、間違いも減らすことができます。文字もa, b, cだけでなく、x, y, zなどでも同様に書きます。

対称式とは?

対称式とは、式の中のどの2つの文字を入れ替えても、もとの式と同じ式になる多項式のことを対称式と言います。実は、先ほどの式1.は対称式となっています。

そして、対称式には重要な性質があって、対称式は基本対称式で表すことができるという性質があります。

基本対称式は、a, b2つの文字の場合、a+b, abの2つ、a, b, c3つの文字の場合、a+b+c, ab+bc+ca, abcが基本対称式になります。

式1.を因数分解した結果とも一致しています。

交代式とは?

交代式とは、式の中のどの2つの文字を入れ替えても、もとの式と符号だけが変わる式のことを交代式と言います。先ほどの式2.が交代式になっています。

交代式の重要な性質は、①a, b2つの文字の交代式は、(a-b)を因数にもつ、②a, b, c3つの文字の交代式は、(a-b)(b-c)(c-a)を因数にもつ、という2つです。

このことを知っていると、因数分解の検算に使うことができます。

まとめ

今回は、対称式・交代式について、因数分解の問題を使って紹介しました。対称式や交代式は大学で勉強する数学や物理、化学などなどで頻繁に出てきます。特に3次元の計算をするときに3つの文字の対称式や交代式が現れます。対称式は基本対称式で表されること、交代式の因数を覚えておくと便利でしょう。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございます。また次の記事でお会いしましょう。

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