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電子線回折の消滅を利用した格子像再構成と転位解析

 はじめに

手法の流れ

  1. HRTEM像のFFT

    • 逆格子像を取得。

  2. 消滅スポット(extinction spot)の同定

    • 理論的に存在するはずの反射が消えている位置を特定。

  3. 拡散波関数の構築

    • 消滅スポットに対応する回折波を仮定。

  4. 像再構成 (IFFT)

    • 透過波と消滅スポット由来の仮想回折波を干渉させ、格子像を再構成。

  5. 転位解析

    • 再構成像中の縞の途切れ・位相ずれを解析し、転位位置とバーガースベクトルを決定。

引用図解説

図1:透過波と回折波の模式図

図1
出典: Materials (2024)
→ 透過波と回折波の干渉により像が形成される。消滅波の概念を模式的に示す。


図2:FFTパターンと消滅スポット

図2
出典: Materials (2024)
→ 消滅すべきスポットが観察されない領域をマーキング。これを基に再構成する。


図3:再構成像と転位の可視化

(論文内 図7–15 参照)

  • 消滅スポットから再構成した格子像では、縞の途切れ・位相の飛びとして転位コアが現れる。

  • らせん転位では縞がらせん状に歪み、バーガース回路を描くことで ベクトルを決定可能。

特徴と応用

メリット

  • らせん転位や複雑な転位ネットワークを可視化可能。

  • 装置変更なし、画像処理ベースで導入できる。

  • 格子像解析の感度を向上。

注意点

  • 結晶構造依存性があり(本論文ではFCCで定式化)。

  • 消滅スポットの同定はノイズの影響を受けやすい。

  • 再構成像は仮想的な要素を含むため、解釈には注意が必要。

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